震災前後に読んでいた本、その1。


作曲家であり小説家でもある著者、
たくきよしみつ(鐸木能光)氏による、25年にわたる狛犬研究の集大成。
オールカラー、氏が撮り集めた多くの写真と解説文が
英文併記で収録されています。
狛犬の魅力にどっぷりと浸かれるフリーク必見の本。
*
第1章のタイトル〜狛犬ほどバラエティに富んだ造形物はない〜
この一文だけで、
たくきさんの狛犬に対する愛情がすっかり伝わってきます。
氏によると狛犬研究は
・起源追求派
・分類派
の2派に大きく分かれるそうですが、この本はそのどちらにも偏ることなく、
面白い狛犬像をさまざまな切り口で紹介するというスタイル。
なので狼像なんかも載っています。
スフィンクスに代表される権威の象徴、獅子から起源し、
シルクロードを経て『阿-阿型』の中国獅子、
これが日本の奈良〜平安貴族に伝わって
仁王像に倣った『阿(獅子)-吽(狛犬)型』の日本型神殿狛犬、
さらに江戸時代まで下り初めて庶民らが奉納したとされる素朴な『はじめ狛犬』スタイルまで。
そして日本各地の土地柄や歴史背景も映し出した
江戸獅子や浪花狛犬、沖縄のシーサー、護国獅子などなど。
なんと吽型の狛犬には元々“角”があったというのだからびっくり。
写真もたっぷり、
面白い顔やら凛々しい顔やら優しい表情やらマヌケな顔まで。
個人的にはやさしい表情の、
ふぐふぐ部分(ω)のぷっくりした狛犬が好きだなぁ。
この本の中だと、
昭和9年、名石工・小林和平氏による、福島・鐘鋳(かねい)神社の狛犬が一番見てみたい。
他にも福島をはじめ、東北地方の狛犬が多数紹介されているのだけれど、
今回の震災被害に思い及ぶにつけ色々と複雑な気分です。
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著者たくきよしみつ氏主催の狛犬研究サイト→
『狛犬ネット』。
きのうの
“のりまき狛犬”(宇津貫熊野神社)も掲載されています。
posted by SHU at 22:40
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